第2回 心理学的に考える!テレワークでの生活リズムの整え方、効率の高め方は?

2020.5.20

コラム第2回
心理学的に考える!テレワークでの生活リズムの整え方、効率の高め方は?

テレワークで生産性が低下している人も

第2回の今回は、具体的な対策について考えていきましょう。
対策は、大きく分けて、タイムマネジメントとストレスマネジメントに分かれます。まず前提として、この対策は個人の努力に依存するのではなく、システム作りを整備することが大切です。うまくいかないのであれば、本人が悪いのではなく、システムの改善を検討すべきです。
きちんと生活を管理することはメンバーの体調を保つことに必須ですし、それがひいては仕事の生産性や質にもつながることになるからです。

タイムマネジメントはどうやる?

さて、まずはタイムマネジメントの方法について表にまとめました。マネジメント側とメンバー側に分けてご説明します。

マネジメント側は、メンバーが働きやすく、モチベーションの保ちやすい環境を提供することが必要です。例えば、朝礼や終礼をzoomなどで行い、さらに疑似的なタイムカードを導入してみてはいかがでしょうか? これによって、勤務時間をメンバーに対して意識づけることができます。さらに、その日の朝礼で自身のタスクを明確にし、終礼で何が達成できたかを発言することで、ゴールを明確にすることが、タスクへの集中力、効率を高めることにつながります。

心理学的には目標設定理論(goal setting theory)というものがあり、明確な目標設定や適切なフィードバックによってパフォーマンスが高まることが知られています。ですので、マメにモチベーションが上がるようなフィードバックを行いましょう。

また、もしPCのログイン時間を管理できるのであれば、勤務外の労働をしている場合には注意をすることもできます。もちろん、メンバー側が時間外労働をせざるを得ない状況に追い込まないよう、終業ギリギリになってから仕事を振るのはNGです。「どうせ家にいるんだから暇でしょ」と夜間や休日の稼働を依頼したり、それを期待するような言動をとったりするのは論外です。また、自宅でのテレワークはコミュニケーションの機会が極めて減ってしまうので、SlackやChatworkなどの情報共有ツールを使用しているなら、顔文字などでメッセージにリアクションをするといった、ちょっとしたコミュニケーションも有効でしょう。互いへの気遣いが対面以上に必要になります。

続いて、メンバー側としては、在宅だからといって、リラックスしすぎないことが大切です。通勤時間がない分、遅く起きることはできますが、起床時間を一定にして生活のリズムを崩さないようにしましょう。朝礼までに着替えやメイクなど準備をすることで、リラックスモードから仕事モードに自分をシフトチェンジしましょう。パジャマを着たままで仕事をするのは、気持ちが緩んでしまい能率が上がりません。また、脳は場所と行動を関連づけて記憶します。ですので、もし可能であれば、普段の生活空間と仕事空間を分けることで、物理的にONとOFFを分けることができるでしょう。

ストレスマネジメントはどうやる?

続いて、ストレスマネジメントについてです。第1回でもお話ししたように、コミュニケーションの難しさがテレワークの最大の課題となります。そこで、努めてコミュニケーションの機会を増やすことが大切ですし、マネジメント側にとっては、最も重要な業務と言っても過言ではないでしょう。

では、何ができるでしょうか? 例えば、部下とビデオチャットでの面談の機会を週1回など定期的に設けることが有効です。ここで画像付きのビデオチャットにこだわるのは、その人の声色や顔色などをみることで体調の変化に気付ける可能性があるからです。電話だと情報量が減りますし、チャットではもはや何もわかりません。ちなみに、この時、部下から相談をしてくるのを待たないでください。皆が皆、自分から自己主張できるわけではないからです。

では、定期的なビデオチャットでの面談をするとして、何を話したら良いのでしょうか?仕事の進捗を聞くのは良いとしてもそれだけでは不十分です。最近の生活状況、変わったことはないか、睡眠は取れているか、ストレスを溜めていないか、運動はしているか、食事は食べているかなど、しつこいくらいに本人の体調について質問しましょう。こういったことはなかなか自分から発信することは難しいからです。お節介なくらい何度も聞いてあげることが大切です。毎回聞いていると、何か変化があった時に気づきやすいですが、1回ではそれがわかりません。

特に一人暮らしの方にとっては、孤独が問題になってきます。職場だと隣の席だからなんとなく話していたとしても、家にいるとわざわざ連絡しなくなってしまうことはよくあることだと思います。普段孤独をあまり問題視しない方も多いかもしれませんが、実は孤独は深刻な問題を引き起こします。アメリカのオハイオ州立大学の研究によると、孤独は慢性的なストレッサーとなり、免疫力低下をもたらすことがあるとされています。今の時期、免疫力の低下は避けたいものですよね。なので、積極的に人とコミュニケーションを取ってみましょう。SNSや電話でも良いでしょうし、最近流行のオンライン飲み会でも良いと思います。

また、テレワークだからこそできるストレス解消法を実践するのも1つの方法です。メンバー側からすれば、テレワークの利点は聞かれたり見られたりする機会や範囲が減ることです。例えばエネルギーを発散することは怒りの軽減に役立ちますが、業務中に嫌なことがあれば、すぐに立ち上がって身体を動かす、近所迷惑にならない程度に「あ゙―」などと奇声を発するなどが可能です(必ずカメラと音声をoffにしましょう)。
また、Web会議では、嫌いな人の顔は他のウィンドウで隠すことができますし、デスクの下で地団駄を踏んだり拳を握ったりしていても気づかれないでしょう。カメラの撮影範囲外に好きなアイドルのポスターやフィギュアを置いたりすることもストレス軽減の効果があると考えられますし、植物も良いでしょう。

なかなかストレスのはけ口を見つけることができない今、ストレスは溜めずにそのつど解消していくことが大切です。実際に実行してみてストレス発散することで、感情に巻き込まれることなく自分を客観視して冷静さを保つことができるでしょう。 「こんなことやってもいいの?」と思っている方、いいんです。
自宅でひっそりと実践するだけなら誰の迷惑にもなりませんし、結果的に仕事の質が上がるはずです。そもそもやるべきことをやっていれば、どのようにやるか、は自由なはず。しかも健康を害してしまっては元も子もありません。

以上、タイムマネジメントやストレスマネジメントについて、ざっくりと解説しました。この方法は、職場の状況や本人の好みなどもあるため、一概に「全員がこれをやれば良い」と言えるものではありません。しかし、上記のことをヒントに、それぞれの環境や個人にフィットするものを試行錯誤していくことはテレワークが当面継続されると考えられる現在の状況においては大切になってくると思います。ぜひ、皆様も色々と工夫してみてください。

それでは3回目の次回は、テレワークでも成功するチームの秘訣についてお話ししますので、お楽しみにしていてください。
(文章:鈴木航太、清水あやこ)

コラム

心理学から読み解くテレワークでの効率の高め方やタイムマネジメント、成功するチームの秘訣などを掲載しております。ぜひご覧ください!

コラム内容
第1回 やり方を変えよう!テレワークでのコミュニケーションの難しさは?
第3回 コロナに負けない!テレワークでも成功するチームの秘訣は?

監修

写真:清水あやこ

清水あやこ

プロフィール
株式会社HIKARI Lab代表取締役。筑波大学大学院非常勤講師。
上智大学国際教養学部を卒業し、外資系証券会社勤務を経て、東京大学大学院臨床心理学コース修士課程修了。2015年、心理ケアサービスのスタートアップHIKARI Labを創業。筑波大学大学院では、システム情報工学研究科にてAIや遺伝子介入が発展した際にヒトの「心」をどう扱うべきか、という主旨の講義を行っている。
【著書】「ちょこっと、ポジティブ。 一瞬で気持ちがふわっと軽くなる35のコツ」(大和出版)、「女子の心は、なぜ、しんどい?」(フォレスト出版)
【監修】「友達100人切れるかな」(作:宮部サチ バンチコミックス)

写真:鈴木 航太

鈴木 航太

プロフィール
株式会社HIKARI Lab CMO・精神科医
大学病院精神科、精神科病院などでの勤務を経て、都内の精神科病院、クリニックなどで診療を行っている現役精神科医師。精神科専門医、精神保健指定医、産業医などの資格を有する。
精神病の早期介入、高齢者のメンタルヘルスなどの領域を主に対象として研究を行っている。HIKARI Labには2016年より参画し、これまで複数の事業に携わっている。

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