バーチャル(オンライン)株主総会とは?種類から必要な準備、事例までご紹介

NEW
2023年07月06日 配信
更新

バーチャル(オンライン)株主総会とは?種類から必要な準備、事例までご紹介

バーチャル(オンライン)株主総会とは?種類から必要な準備、事例までご紹介
イベント

「バーチャル(オンライン)株主総会」とはインターネットを通じて開催する株主総会で、コロナ禍を契機に取り入れる企業が増えています。バーチャル株主総会には、リアル会場で開催しながら、その様子をオンラインでも同時配信する「ハイブリッド型」と、リアル会場がなくオンライン配信のみで開催する「バーチャルオンリー型」の2つの形式があります。

この記事ではバーチャル株主総会の事例や、形式ごとのメリットや準備のポイントなどをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

バーチャル(オンライン)株主総会とは

バーチャル株主総会とは、インターネットを通じて行う株主総会のことです。株主はインターネットを通じて、株主総会の様子をリアルタイムに視聴することや、開催形式によっては議決権を行使することや、質問などの提出も可能です。

インターネットが普及するまでの株主総会では、物理的な会場しかなく株主は決められた日時に会場に足を運ぶ必要がありました。一方でバーチャル株主総会は、インターネット環境が整っていれば遠隔地からでもリモートで参加できるという利便性があります。
コロナ禍のような感染症拡大時の対策としても効果的であり、また、大きな会場の設営が不要になるためコスト削減が期待できることからも注目を集めています。

バーチャル(オンライン)株主総会の種類

バーチャル株主総会には、リアルとオンラインを組み合わせた「ハイブリッド型」と、実際の会場がない「バーチャルオンリー型」の2種類があります。ここでは、それぞれの特徴をご紹介します。

ハイブリッド型

従来型の株主総会とバーチャル株主総会のそれぞれのメリットを兼ね備えているのが「ハイブリッド型」です。

ハイブリッド型株主総会では、リアルな会場で株主総会を開催し、その様子をタイムリーにオンラインで配信します。コロナ禍を契機に、より多くの株主の参加を期待してバーチャル株主総会に取り組む企業も見られるようになりました。株主としても、複数の企業の株主総会や、遠方の会場で開催される株主総会への参加がしやすくなったと考えられます。

ハイブリッド型株主総会には「参加型」と「出席型」があります。どちらの方式も専用のウェブサイトなどから株主が株主総会の様子を傍聴しますが、参加型では株主による質問や動議の提出、議決権行使が認められていません。一方で出席型は、質問や動議、議決権行使が認められています。ただし、定足数や議決権のカウント、会社側や株主側の通信環境のトラブルも考えられることから、ハイブリッド出席型株主総会の開催には留意すべき点が多いと言えるでしょう。

バーチャルオンリー型

「バーチャルオンリー型」とは、文字通りオンライン上のみで開催するタイプの株主総会です。

株主総会の開催にあたっては、会社の設立・運営・仕組みなどのルールを定める法律である「会社法」によって「株主総会の場所は定めなければならない」とさられており、バーチャルオンリー型での開催は難しいとされてきました。しかしその後、2021年2月に閣議決定された産業競争力強化法の改正案に「場所の定めのない株主総会等を特例的に可能にする」という内容が盛り込まれたため、バーチャルオンリー型の開催も現実的になりました。

バーチャルオンリー型では、広い会場に株主を招集して株主総会を行う必要がなくなります。企業にとって、リアル会場とバーチャルの両方を行うハイブリッド型よりも、準備や実施にかかるコストの削減につながることが大きなメリットです。
さらに、従来は会場までの距離の問題や時間の都合などで参加できていなかった株主との対話の機会が生まれるケースがあることも、企業経営にとってプラスと考えられます。

ただし、場所の定めのないバーチャルオンリー株主総会の開催には、さまざまな要件が定められています。具体的には上場会社であること、また、経済産業大臣及び法務大臣の確認を受けた上で、株主総会を「場所の定めのない株主総会」とすることを定款に定める必要があります。
バーチャルオンリー株主総会を検討する場合は、事前に余裕をもって経済産業省のホームページなどで要件を確認しておきましょう。
※2023年6月時点の情報です。

バーチャル(オンライン)株主総会に必要な準備

バーチャル(オンライン)株主総会とは?種類から必要な準備、事例までご紹介

バーチャル株主総会を開催するにあたり、どのような準備が必要になるのでしょうか。ここでは、主なポイントを3つご紹介します。

バーチャル(オンライン)株主総会に必要な器具を準備する

株主総会を滞りなくインターネットで配信するには、必要な器具を準備して環境を整える必要があります。
例えば、ライブ配信に必要なシステムや機器、株主の本人確認を行うための認証システム、議決権行使が実施できる環境整備などです。企業の機密情報や参加者のプライバシー情報の保護といったセキュリティ面での配慮も欠かせません。

加えて、配信中はもちろん、準備や配信後の運用に際して十分な知識・技能を持った担当者の配置も必要になります。映像を安定的に配信し、トラブル時には速やかに対応できるような体制づくりが求められるでしょう。

バーチャル(オンライン)株主総会の招集通知の送付

通常、株主総会の開催にあたり、その日時を知らせる「招集通知」を株主に送付します。その際に、以下のようなバーチャル株主総会についての情報も明記しておく必要があります。

招集通知に書き加える内容の一例

  • オンラインで参加・出席する場合の株主専用サイトのURL、アクセスのためのID・パスワード
  • (参加型の場合)当日に議決権行使が行えないことについて
  • 議決権行使の方法についての説明
  • 通信障害など、万一のトラブル発生時の対応
  • (出席型の場合)オンラインでの質問回数の制限や、質問の文字数制限といったルール ・動議の取り扱い  他

バーチャル(オンライン)株主総会の議事録

株主総会では、会社法施行規則第72条3項1号において定められている通り、議事録の作成が必須です。バーチャル株主総会のうち、インターネットなどの手段を用いて出席し、審議への参加や決議にも加わる「出席型」の場合は、リアル会場に出席しない株主の出席方法についても書き加える必要があります。

日本・海外におけるバーチャル(オンライン)株主総会の事例

東京証券取引所のアンケートによると、2023年3月時点でバーチャル株主総会の実施を予定していた日本企業は、2023年3月期の東証内国上場会社2,283社のうち360社に及びました。ほとんどがハイブリッド型の開催で、バーチャルオンリー型は11社に留まっています。

ここでは、実際に日本や海外の企業が行ったバーチャル株主総会の事例を紹介します。

引用:東京証券取引所:2023年3月期決算会社の 定時株主総会の動向について

ソフトバンクのバーチャル(オンライン)株主総会事例

通信事業を営むソフトバンク株式会社では、新型コロナウィルス感染症予防を目的として2020年からハイブリッド型のバーチャル株主総会に取り組んでいます。従来型のリアル会場での開催に加えて、株主専用サイトを通じてオンライン出席や質問・議決権行使を行えるような仕組みが整っています。

現在はハイブリッド型での開催となっていますが、将来的にバーチャルオンリー型での開催が可能になるよう、2021年の株主総会において定款を一部変更しました。これには、株主総会の開催方式を拡充し、新たな感染症のパンデミックや大地震などの緊急時において、速やかにバーチャルオンリー型を選択できるよう備えておく意図があります。

フォード 海外のバーチャル(オンライン)株主総会事例

米国では、2000年にデラウェア州がバーチャルオンリー型の株主総会を認めてから多くの州に拡大し、近年ではバーチャルオンリー型での開催が増加傾向にあります。

自動車メーカーのフォード株式会社の例では、バーチャルオンリー型株主総会の開催にあたり、「時間の制約を定める」「総会事項以外には答えない」「開催中に回答できなかった総会事項に関する質問については、公式ホームホームページに一定期間公開する」としています。バーチャルオンリー型の株主総会の運営を円滑に進めるために質問の範囲を制限しつつ、質問への回答を公開して透明性を担保するなどの配慮をしています。

まとめ 株主総会支援ならパソナ日本総務部

バーチャル(オンライン)株主総会とは?種類から必要な準備、事例までご紹介

インターネットを通じたバーチャル株主総会は、より多くの株主とのコミュニケーションをはかることができる手段です。加えて、パンデミックや大規模災害などの非常時の対策としても有効です。

パソナ日本総務部では、イベント支援サービスとして大規模から小規模まで、多様な株主総会の企画・運営をサポートしています。リアル会場での開催実績はもとより、各分野の専門会社との連携によってバーチャル株主総会の円滑な開催も支援しています。この機会に、バーチャル株主総会の検討を始めてみてはいかがでしょうか。

関連する導入事例

ケーススタディ

資料ダウンロード

関連するサービス・ソリューション

関連するコラム