ESG経営を簡単に解説!メリットや課題、取り組むポイントについて

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2022年12月13日 配信
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ESG経営を簡単に解説!メリットや課題、取り組むポイントについて

ESG経営を簡単に解説!メリットや課題、取り組むポイントについて
オフィス環境改善・施設管理

環境問題への対応やダイバーシティ(多様性)の推進などへの企業の取り組みが課題とされる中、SDGs(持続可能な開発目標)などの関連ワードをビジネスの場でも目にする機会が多くなり、今では意識すべき課題として各所で重要視されています。 その中で昨今注目を集めているのが「ESG経営」という経営戦略です。今回はESG経営について注目し、用語の意味やSDGsとの違い、ESG経営に取り組むメリットや導入のポイント、現状の課題などを解説します。

ESG経営とは

ESG経営とは、「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(管理体制)」の3語から成る略語で、環境汚染や社会的規範、コーポレートガバナンスの遵守を重視した経営スタイルのことを指します。

2006年に国連が発表した「責任投資原則(PRI)」の条文で用いられたことが初出とされ、2008年のリーマンショックによる影響から、投資家が企業の長期的な存続を評価するための指標として注目し始めました。その後、世界的な基準として浸透しています。
近年では脱プラスチック化やカーボンニュートラル(CO2削減に向けた動き)といった環境問題、労働者の待遇改善、ダイバーシティの推進などがESG経営の一環として特に重視されています。

ESGとSDGsの違い

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ESGと似た用語として知られているのが「SDGs」です。両者は環境問題や雇用問題、多様性の尊重といった似通った内容に主眼を置いたものであり、一見すると違いがわかりづらく混同することもあるでしょう。しかし、ESGとSDGsは厳密には異なる概念です。
まず、ESGが企業経営に関して用いられる言葉であるのに対し、SDGsは国連・各国政府全体の目標として掲げられる点が異なります。加えて、ESGが経営や投資の文脈で「企業の長期目標」を示す際に用いられる語句であるのに対し、SDGsはあくまでも「全人類が目指すべき目標」である点も異なります。

以上のようにESGとSDGsは言葉の持つニュアンスや目指す方向性は似ていても、適用範囲や使用される文脈が異なっています。

SDGsに限らず、企業が担う社会的な責任を指す「CSR」や、社会的責任を果たしている企業に対して積極投資を行う「SRI」なども、ESGと似ている言葉としてよく挙げられます。

ESG経営に取り組むメリットとは?

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では、企業がESG経営に取り組むにあたって期待されるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

投資における評価の向上

そもそもESGは投資の分野において、SRI(社会的責任投資)やCSR(企業の社会的責任)といった企業責任を追及する指標とともに用いられることの多い用語でもあります。ESGの達成度合や注力度を軸に投資家がその企業を評価するのが、昨今のトレンドであります。
そのためESG経営を進めることは企業にとって評価向上にも直結し、より安定的かつ社会に貢献できるビジネスの継続を目指せるようになるメリットがあります。

経営リスクの軽減

ESGを主とする持続可能性の高い経営形態には、直接的な利益こそ見込みにくいものの企業の抱える経営リスクを軽減するメリットもあります。
環境問題・社会問題・ガバナンスといったさまざまな視点から想定外の打撃や影響を受けやすい昨今では、利益のみを優先し社会的責任を果たさない経営形態そのものが大きなリスクとなり得ます。ESG経営の実施には、自ずと有事への対応力を強化させる効果があるとも言えるでしょう。

キャッシュフローの増強

ESGによって経営における持続可能性が改善されることは、キャッシュフローの増強にもつながると考えられます。
企業として社会への貢献を行う姿勢を示すことが投資家や消費者からの評価と結びつくことで、結果としてブランドイメージや企業価値・信用度が向上し、企業のビジネスを成長させることにもつながるためです。

ESG経営の課題と取り組みの難しさ

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一方でESG経営を行うにあたってはさまざまな課題があり、実際に企業として取り組むことは容易ではないとされています。ここでは、その理由も整理してご紹介します。

定義が乱立している

ESG経営という言葉が誕生してからの歴史はまだ十数年と浅く、そもそもの定義や価値基準を判断する確実性のある指標が明確でないことが課題として挙げられます。決算情報や財務情報からESG経営がうまく進んでいるかを判断することも難しいため、「何を目標として設定すべきか」が判断しづらいのが実情です。
今後日本企業の中でもより具体的なESG経営の定義付けが進んでいくことは予想されますが、現状では各社がヒントのない状況から最適解を見つけることが求められています。

短期的な指標で成否を判断できない

短期的な指標で成果を判断することが難しいこともESG経営における課題点です。
ESG自体が「社会においてどう企業が貢献できるか」を問う長期目標であるため、施策に対する結果がすぐに得られず、また取り組みへのフィードバックを得ることにも多くの時間を要します。そのため、長期的なスパンで取り組むことが求められる点がESG経営推進における大きな課題とされています。

解決策としては、ESGの中でも組織内部の問題となるS(社会)およびG(管理体制)に主眼を置いた施策を積極的に推し進めていくアプローチが有効であると考えられます。
例えばハラスメント対策に注力したり、コーポレートガバナンス強化として積極的な情報開示を試みたりすることからESG経営のきっかけ作りを図ることなどがその一例です。また、E(環境)の一要素として社内でのペーパーレス化推進など、業務効率化にもつながるような施策を進めていくのも良いでしょう。

ESG経営を導入するポイント

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ESG経営は社会的責任を果たすという観点から見ても、企業の信用度を向上させられる点から見ても非常に有意義な施策であると言えるでしょう。ここでは、実際にESGを意識した経営戦略を組み立てる上でのポイントをご紹介します。

省エネ・サステナビリティ(持続可能性)への取り組み

SDGsの主な目的でもある「サステナビリティ(持続可能性)」への取り組みを強化することは、ESG経営を志向する上では必要不可欠となる要素です。
サステナビリティとは「環境と経済とのバランスを考えながらより持続的な社会を目指す考え方」です。
例えば製紙メーカーであれば森林資源の保全を考慮して再生資源の利用を優先する、漁業関連ビジネスを営んでいるのであれば過度な乱獲をやめて漁獲量制限を設ける、といったアプローチがこれにあたります。
直接的に環境問題と関わりのない企業であったとしても、省エネルギーへの取り組みや温暖化防止のための取り組みを積極的に行うことがESG経営の基礎を築くきっかけとなるでしょう。

ダイバーシティ(多様性)の推進

環境問題と同じく重視されるのが「社会の多様性に即した組織づくり」です。 社会に存在するさまざまな性別・性自認・国籍・人種・考え方を多様性として尊重するダイバーシティの考え方は、ビジネスを営む上でも避けられない課題となります。

例えば日本でたびたび課題となるセクハラ・パワハラ等などに関する問題やヘイトスピーチ・ヘイトクライムへの企業としての対応などがESG上では評価対象となります。 これらの諸問題を限りなくゼロに近づけるための活動ができているかどうかによって、企業としての資質が大きく問われるのです。

労働環境の改善

多様性の推進とあわせて注意を払いたいのが、組織内の労働環境にまつわる問題です。
長時間労働が常態化している場合や、正規雇用者と非正規雇用者の間に著しい格差が生じている労働環境はESG経営の観点からも好ましくなく、できる限り改善していくことが求められます。
職場内での災害対策や従業員の健康維持などもこの一環にあたり、心身の両面からすべての従業員が安心して活躍できる環境を目指すことが重要です。

企業統治(ガバナンス)の徹底

ESG経営は組織の内部・外部の両面に向けた働きかけの上で成り立つ経営手法で、その中で信頼性を保つために注視したいのが企業統治(コーポレート・ガバナンス)の徹底です。

企業経営におけるガバナンスとは「法律・社会規範に反さない管理体制を徹底すること」を指します。類語として同一の文脈で用いられることの多い「コンプライアンス」があくまでも法令遵守の意識を問うのに対し、企業がどのように組織を律するかを問うのがガバナンスです。
企業倫理や法律遵守といった項目はもちろん、独占・寡占なく公正な市場競争を実施できているかどうか、租税回避行為をしていないか、汚職や不正が行われていないか、といった事柄も踏まえて総合的に自社を律することが求められます。

ESG投資とは

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ESG投資とは、従来のように企業の財務情報のみを参考に投資を行うのではなく、環境・社会・ガバナンスの3つの要素を投資判断に含めるという考え方です。
ESG投資においては、単に高品質な商品やサービスを提供して売上を上げているだけでなく、企業がサステナブルな経営を行っているかどうかも重点的に評価されます。

ESG投資の分類

ESG投資には、次の7つの分類があります。ここでは、それぞれの分類について解説します。

ネガティブ・スクリーニング
ESG投資の分類のなかでも歴史が古く、世界中でよく利用されている手法です。
倫理から外れた行為によって売上を確保している企業に投資しないという考え方で、武器やアルコール、タバコ、原子力発電、性産業などの要素が挙げられます。
ポジティブ・スクリーニング
ある業界において、ESG投資の観点から評価値が上位に属する企業へ積極的に投資する手法です。
ESG評価が高ければ、将来的な業績も高くなると判断して投資が行われます。
国際規範に基づくスクリーニング
国際規範に基づくスクリーニングとは、ESG投資の国際基準をクリアできていない企業への投資を行わないことです。
環境問題や人権問題に関する不祥事を起こしている企業や、汚職問題が起こった企業などは、投資先から外します。
ESGインテグレーション
近年普及が進んでいる手法で、財務情報と非財務情報を合わせて投資先を判断します。
特に、長期投資になりやすい年金基金などのファンドは、将来的なリスクや企業の競争力を判断する上で、ESG情報などの非財務情報を活用する傾向にあります。
サステナビリティ・テーマ型投資
サステナブルな経営を行って環境問題に貢献している企業に積極投資する手法です。
また、再生可能エネルギーなど環境問題対策だけでなく、ダイバーシティ、持続可能な社会の実現、男女平等など、特定のテーマを掲げている企業への積極投資を行う場合もあります。
インパクト投資
社会や環境にメリットをもたらす商品やサービスを提供する企業へ積極投資する手法です。
収益を上げることのみを目的とするのではなく、社会に対してポジティブな影響を及ぼすことも投資目的のひとつと捉えます。
エンゲージメント議決権行使
株主の立場から企業へESGを意識した経営を積極的に提言する投資手法です。
株主総会や情報開示請求など、さまざまな機会を通して経営層へESGを意識した経営を促します。

まとめ

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