人件費削減とは?メリットからリスク、具体的な方法までご紹介

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2023年07月06日 配信
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人件費削減とは?メリットからリスク、具体的な方法までご紹介

人件費削減とは?メリットからリスク、具体的な方法までご紹介
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企業を取り巻く環境が大きく変わりゆく今、多くの企業が従来からの仕組みの改革や新たな取組みへの着手を求められています。このような変化の中、売上額に関係なく常に一定額が計上される固定費の削減を考えねばならない場合もあるでしょう。固定費の代表格として人件費が挙げられますが、ビジネスの核である人材を確保するための人件費を削減することは、簡単に進められるものではありません。 そこで今回は、人件費削減のリスクやメリット、具体的なアプローチなどを整理してご紹介します。

そもそも人件費とは何か

人件費削減とは?メリットからリスク、具体的な方法までご紹介

人件費とは、企業経営にかかる費用のうち従業員にかかるコストのことを指します。
人件費には、給与をはじめ、賞与(ボーナス)、社会保険料の企業負担分である法定福利費(健康保険・介護保険・厚生年金保険・労災保険・雇用保険)、福利厚生費、通勤定期代、退職金などが含まれます。これらの他にも、研修費用や教育費用、採用コストなども広い意味では人件費の一部と考えることができるでしょう。

人件費削減のメリット

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人件費削減に取り組むことで、企業にはさまざまなメリットがあります。ここでは、将来的に企業価値を高めることにつながると考えられる、主なメリットを4つご紹介します。

人件費に関係する他の費用についても削減が見込める

退職などの自然減に対する新規採用の抑制を行えば、単純に人員数は減るため連動して給与や賞与といった人件費が減ります。また人件費に関係する他の費用についても削減につながるでしょう。例えば、オフィスで利用するパソコンのリース料やスマートフォンなどの通信費、オフィス家具などの備品に関わるコストなどの削減が挙げられます。
他にも、業務フローを改善するなどで業務効率がアップし、残業時間の抑制に成功した場合には、これまでかかっていた時間外労働分の割増賃金やオフィスの水道光熱費なども削減されます。

人件費削減によって生まれた費用をベースにした事業の拡大、立ち上げ

業務効率化などの適切な人件費削減によって生まれたお金は、既存事業の拡大や生産能力の向上、新規事業の立ち上げなどの資金に回すこともできるでしょう。
例えば設備投資や修繕、商品開発、デジタル化といった企業の将来へ向けた分野に活用すれば、売上向上や収益改善につながることが考えられます。

融資を受けやすくなる

金融機関から融資を受ける際は、企業の財務状況や将来の見通しが審査されます。企業経営にとって人件費は大きな割合を占めるため、人件費の削減や抑制は利益増につながるとも言えます。
適切な取組みによる人件費の削減は金融機関からの評価アップにつながり、結果として融資を受けやすくなるというメリットも期待できるとされています。

業績改善による株価の上昇

人件費を抑えると自ずと売上に対する固定費の比率が下がり、営業利益が向上します。生まれた利益を新規サービス開発や改善活動に活用すれば、さらなる業績アップも期待できるでしょう。
業績アップが実現すれば、投資家をはじめとしたステークホルダーからの評価の高まりが期待できます。評価が上がることで投資活動も積極的になり、株価上昇にもつながると考えられます。

人件費削減のデメリットとリスク

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人件費の削減を検討する上でまず把握しておかなければならないのが、「人件費の削減にはデメリットもあり、相応のリスクが伴う」ということです。 企業経営の上ではさまざまな経費が発生しますが、ビジネスの主軸となる人材を支えるための人件費を単純に削減するという選択肢は、できるだけ避けることが望ましいでしょう。
その理由はさまざまですが、主に「従業員のモチベーション低下」「企業の信用・ブランドイメージへの悪影響」といったことが懸念されます。

従業員のモチベーション低下

まず、大きなリスクとして挙げられるのが、従業員のモチベーション低下です。
人件費削減によってそれまでの報酬体系が見直され給与や賞与が低下する、また採用抑制よる人員減によって残ったメンバーの業務負担が増える、といった事態は職場環境を悪化させる大きな原因です。加えて従業員の組織への帰属意識や仕事への熱意といったエンゲージメントに関する要素も低下するため、結果として生産性の低下や離職率の上昇といった問題にもつながることが懸念されます。

企業の信用・ブランドイメージへの悪影響

人件費の削減は、企業の信用やブランドイメージへ悪影響をもたらす可能性もあります。特に人員整理や賞与のカットといった大きな施策を実行した場合、取引先や株主からは「人件費以外に削減する余地が残されていない危機的な状態」と見なされることが想定されます。
特に企業規模が大きい場合には、人件費削減を断行による影響範囲も広くなってしまうでしょう。将来的に業績が回復した時の、新たな人材獲得や新規事業への参入といった次の打ち手への挑戦も難しくなることが考えられます。

リスクを回避し人件費削減を行う方法

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では、リスクを回避しつつ人件費の削減をはかるにはどのような方法が有効なのでしょうか。

アウトソーシングの活用

人件費削減を進める上で検討したいのが、既存業務の外注化(アウトソーシング化)です。
例えば事務作業や電話応対といった、会社運営に必要ではあるものの直接的に利益を生み出さない、いわゆる「ノンコア業務」を専門業者へアウトソーシングするという選択肢があります。アウトソーシングを活用すれば、自社の従業員が対応するよりもコストを抑えられる可能性があり、また専門業者の知見によって各業務のクオリティが従来よりも向上するなどの副次的な効果も見込めるでしょう。

また、アウトソーシングは変動費として扱われます。業務の一部を外部委託化すれば、その分にかかっていた固定費である人件費を抑制することにつながります。例えば「繁忙期にはアウトソーシングの比率を増やし、閑散期には比率を下げる」といった調整も考えられ、常に一定以上のコストがかかる人件費の見直しにも貢献するでしょう。

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クラウドツールやシステム導入による業務効率化

リスクを避けながら人件費削減を試みる上では、業務効率の向上をはかることも重要なアプローチです。

例えば時間外労働に関するコストが多く発生している場合、業務プロセスのどこかに余分な手間が発生していることが考えられます。具体的には「文書などを紙ベースで管理しているため、倉庫に行って探すのに時間が必要」「単純な内容だが、ボリュームの多い入力作業を人の手で繰り返し行っている」「決裁者の承認を待たないと進められない作業があるが、紙ベースの承認で時間がかかる」といったケースです。
そういった「待ち時間」や「効率の悪い作業」を削減するために有用なのが、クラウドツールやシステムです。

また、資料作成時のデータ取得に多くの工数が発生している場合には、自動化を可能にするRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やソフトウェアの導入、決裁承認をワークフローツールでデジタル化するアプローチが工数削減を可能にします。またこれらが結果的に人件費を抑えることにもつながるでしょう。

取り組みやすい人件費・固定費の削減方法

人件費の削減は、前述した「アウトソーシングの導入」「業務効率化ツールの導入」などの長期的な施策と、「従業員の給与を削減する」「人員整理を行う」といった短期的な施策に大別されます。
長期的な施策に比べ、短期的な施策には信用低下やモチベーション低減といった大きなリスクが伴うため、できるだけリスクが低く取り組みやすいと考えられる別のアプローチから人件費削減を目指していくことが理想的です。

残業代の削減・見直し

人件費を圧迫する原因のひとつに、残業代や休日出勤手当といった時間外労働に関するコストが挙げられます。これらは必要なコストでもありますが、場合によっては必須ではない残業が日常的に発生していることも考えられます。
人件費削減を行うためには、まずは本来必要ではない残業が発生していないかの現状把握から取り組むと良いでしょう。まず「残業ありき」の業務体制を見直し、専門業者への外注化やクラウドツールによる自動化なども取り入れ、業務効率の向上を目指していけば、人件費の抑制効果も期待できます。
さらに、従業員にとっても労働時間が短くなることは、ストレスの低減やモチベーションの向上といったメリットをもたらすと考えられます。そのため、人件費の削減を進める上で懸念されるリスク回避にもつながる有用なアプローチといえるでしょう。

人件費以外の固定費の削減・見直し

人件費削減を進める前に、改めて他の固定費を見直すことも重要です。
たしかに人件費は企業経営において大きな比重を占める支出ではあるものの、むやみに削減を進めることは職場環境の悪化や離職の増加といったことにつながる可能性が考えられます。
そこで、オフィスの賃料や広告宣伝費、活用されていない低いサービスなどの経費についても今一度見直し、不要な支出があれば都度抑制して経費削減を目指すことが理想的といえるでしょう。

人員の配置転換

人員の配置転換を試みることも、人件費削減につながるアプローチのひとつです。
特にバックオフィスに関わるメンバーや、ノンコア業務を担当するメンバーを組織の収益と直結する部門へ異動させることは、会社の利益拡大にもつながるでしょう。
もちろんバックオフィス関連などの人員も組織運営上必要であるため、単純に削減するのではなく、手が足りなくなる部分はアウトソーシングや人材派遣などで補いつつ調整していくことを意識すると良いでしょう。

リスクの高い人件費削減の方法

人件費削減とは?メリットからリスク、具体的な方法までご紹介

では、他の支出の削減や時間外労働の抑制といった経費削減案を進めた上で、さらに人件費の削減を行わなければならない場合には、どういった対応があるのでしょうか。
続いては、人件費を削減する手法の中でもリスクが高いとされるものをご紹介します。

採用の抑制・停止

既存の従業員に対する取り組みの前に、まずは新たな人材獲得に向けた投資を抑える施策です。
人員整理はあくまでも最後の手段と位置付け、まずは人件費以外のコストも必要な採用活動を一時的に停止することから取り組むのです。具体的な方策としては、新卒採用を一時中断するなどですが、会社の中長期的な人員計画にも影響を及ぼす可能性があるため、十分な検討が必要です。

賃金やボーナスのカット

業績の悪化などによる賞与の削減など、報酬減による人件費削減も選択肢のひとつです。しかし前述のとおり、従業員のモチベーション低下や離職といったリスクが伴う方策となるため、やむを得ない理由がある場合にのみ行うことようにしましょう。
特に賃金のカットは労働契約法にて「労働条件の不利益変更」に該当するとされており、あくまでも従業員側の自由意志による同意があって初めて成立するものです。
やむを得ず実行する際には財務状況の悪化や経営難であることを定量的に示したデータを提示し、従業員側からの理解を得る必要があります。

まとめ

今回は人件費の削減についてご紹介しました。
一口に人件費といってもその内容はさまざまであり、また業務効率化の推進やアウトソーシングの積極的な利用を進めていくことで、リスクを回避しつつコストを抑えることも十分に考えられます。
業務の外注化による人件費の抑制を検討したい場合は、ぜひ株式会社パソナ日本総務部までお問い合わせください。

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