業務効率化と生産性向上の違いとは?働き方改革で行うべき具体的な施策から注意点まで紹介

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2023年07月06日 配信
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業務効率化と生産性向上の違いとは?働き方改革で行うべき具体的な施策から注意点まで紹介

業務効率化と生産性向上の違いとは?働き方改革で行うべき具体的な施策から注意点まで紹介
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ビジネスシーンにおいて、「業務効率化」と「生産性向上」という言葉は頻繁に話題にあがるのではないでしょうか。実際に、多くの企業で取り組むべき課題として意識されていることでしょう。
両者はセットで用いられることも多くありますが、似通った言葉でありながら厳密な意味や定義は異なります。 今回は業務効率化と生産性向上について、それぞれの違いを整理しつつ、社内で推進する際のポイントなどについてもご紹介します。

業務効率化と生産性向上の違いとは?

業務効率化と生産性向上は、意味は異なるものの各々が連動している概念だといえるでしょう。
具体的には業務効率化が「インプットの最小化」を目指すのに対し、生産性向上は「アウトプットの最大化」を目指す、といった違いがあります。
加えて、厳密には「生産性向上を実現するため」に「業務効率化を推進する」という関係性となるため、業務効率化は生産性向上の方策のひとつであるとも捉えられます。 違いをより詳しく理解するために、それぞれの意味を改めて整理していきましょう。

業務効率化とは

業務効率化とは、無駄なタスクを削減してより少ない工数で成果の最大化をはかる試みです。
例えば「既存業務のプロセス改善やオートメーション化」といったアプローチや、「非効率的で無駄な作業を減らし、少ないコストでより大きなパフォーマンスを発揮する」といったことが業務効率化にあたります。

生産性向上とは

対して、生産性向上とは各企業におけるアウトプットの総量増加や、価値をより高めるためのさまざまな施策を包括した言葉です。
一口に生産性といっても「労働生産性(従業員1人あたりの生産量や粗利をはかる指標)」「資本生産性(土地・設備機器などが事業に貢献した成果をはかる指標)」「全要素生産性(ブランディングや知財といった無形資産の貢献度も含めて総合的な生産性を判断する指標)」など多岐にわたります。それらの要素を引き上げようとするすべての試みが生産性向上施策の一環である、とも捉えられるでしょう。

生産性向上・業務効率化の必要性

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では、なぜ業務効率化や生産性向上といった目標を見据えて組織運営を行う必要があるのでしょうか。

労働人口減少対策としての働き方改革推進

生産性向上や業務効率化が課題として重要視されるようになった背景には、昨今の労働人口減少が関係しています。
総務省の情報通信白書 平成30年度版 人口減少時代とその課題によると、日本の人口は年々減少傾向にあり、少子高齢化の加速とともに生産年齢人口(15~64歳)の割合は2040年までに6,000万人を下回るとされています。2017年時点での生産年齢人口は約7,596万人(総人口に対して約60%)とされていますが、将来的にはその数値が53.9 %程度に下落するという予測です。

このような流れを受けて今後ますます人材獲得のハードルが上がり、従来のような労働力の量でまかなう業務プロセス構築が現実的ではなくなることが予想されています。
つまり、「少ない人員で、より多くの成果をあげる」ために業務効率化と生産性向上の両方に取り組むことが、労働人口減少への対策として重要視されているのです。
特に生産性向上のためには「働き方改革」の推進が重要だとされています。

働き方改革関連法では時間外労働の上限規制が設けられましたが、つい行いがちな残業を抑制するには、就業時間中の集中力をより高められるような環境づくりや、残業をできるだけ行わないという雰囲気づくりも重要です。これらの取り組みが仕事のメリハリを生み、一人ひとりのパフォーマンスを上げることにもなり、ひいては生産性向上にもつながっていくでしょう。加えて、フレックス勤務や在宅勤務などの柔軟な働き方を可能にする人事制度を取り入れることで、従来であれば子育てや介護といった理由で休職・退職を余儀なくされていた優秀な人材も働き続けられるようになります。業務に習熟した従業員がパフォーマンス高く働き続けることは、生産性向上にも貢献するといえるでしょう。

グローバル競争への対応

国内における人材難の問題だけでなく、グローバル社会における日本の競争力低下といった問題も懸念されています。
日本の労働生産性は先進国の中でも低い水準とされており、2022年に発表された公益財団法人日本生産性本部の調査結果によると、2021年度はOECD(経済協力開発機構)加盟国の中では時間あたりの労働生産性が38カ国中27位、就業者1人あたりの労働生産性が38カ国中29位という結果となっています。
また時間あたりと、就業者1人あたりでの生産性は主要先進7カ国の中で両方とも最下位となり、海外諸国とのグローバル市場競争において不利な状況が続いています。
以上の結果からも、日本社会における生産性向上がいかに重要課題であるかが推察できるでしょう。

業務効率化を実現するための具体的な施策

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では、業務効率の改善や生産性の向上を実現するには、どのようなアプローチが有効となるのでしょうか。ここでは、業務効率の改善を実現するためのヒントとなる具体的な施策についてチェックしてみましょう。

全体像から考える

組織における業務効率化や生産性向上を最終目標とした施策を立案するには、その全体像を設計しましょう。建物などの建設には、まず土台や設計図を考える必要があるのと同じです。

全体像の設計には、「何が課題となっているのか」「業務効率化を阻む原因は何か」といった事柄を、各業務のプロセスやタスク処理のために利用しているツール、作業時のルールや進め方といったものから一つひとつ洗い出す必要があります。その上で、組織における業務の全体像をつかむことがポイントです。
業務の全体像を洗い出しができたら、次は無駄な業務を客観的にチェックする段階です。

例えば、これまで疑問を持たずにやってきたタスクが、業務プロセスにおいて本当に必要かどうかを見直します。他の業務と重複していないか、よりシンプルな方法で代用できないか、といったことも検討すべき要素です。
無駄な業務を削減した上で、さらに残った業務の中でも優先順位を決めることも効率化につながります。「時間がかかる業務」「期限が迫っている業務」といったように、優先する基準をいくつか決めておくと良いでしょう。

ITツールの活用

全体像の把握と現状の課題整理を終えた後には解決策を練っていくことが求められますが、その際に役立つのが各種ITツールの活用です。
例えば、社内情報の共有・スケジュール管理にはグループウェア、事務系作業の自動化にはRPA、営業活動の支援・プロセス管理にはSFAと、用途や課題に応じて多種多様なツールがあります。これらを見極め適切に導入することが、更なる業務効率化の後押しとなるでしょう。

また、繰り返し行うルーティン業務では1つの動作は簡単でも数をこなすためには時間がかかります。そこでITツールの機能を使って自動化しておけば、クリックするだけで素早く一連の作業が完結します。
他にも、ITツールに蓄積されたデータベースも役立ちます。顧客情報や商品の在庫情報、アンケート調査やトラブル時の対応など、過去のデータから得られる情報は業務効率化の大きなヒントになるでしょう。

分業化と適切な人材配置の検討

分業化や適切な人材配置に取り組むことでも、業務効率の改善につながる場合があります。例えば1人が多くのタスクを抱え込みすぎているケースや、従業員の適性を見極めた人材配置になっていないケースなどが考えられます。
業務が1人のメンバーに集中する事のないよう分業化することや、業務適性やスキルを鑑みて人材配置を見直すことで業務がよりスムーズに進む可能性があります。

生産性向上を実現するための具体的な施策

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続いて、生産性の向上にはどのようなアプローチが有効となるのでしょうか。

業務のアウトソーシング

ITツールの積極的な導入とあわせて検討したいのが、業務のアウトソーシングです。 その業務のプロフェッショナルが請け負うアウトソーシングは、アウトプットの最大化を目指す生産性向上策の一つであるといえるでしょう。

アウトソーシングは、主に定型化したタスクをルーティン的に処理していく形態の業務との相性が良いとされ、特に総務・事務関連業務などの業務にも適していると言えます。アウトソーシング業者によっては、それぞれの業務をタスク単位で請け負うだけではなく、付随して発生する一連の多種多様な業務も含んだ関連プロセスを一括して対応するBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)にも対応している場合があります。

エンゲージメントの向上施策

エンゲージメントを上げることが、生産性向上にもつながると言われています。ここでいうエンゲージメントとは、従業員が会社に持つ愛着や信頼感を指します。
従業員のエンゲージメントが高まると「企業の一員としての誇り」「企業に貢献したいという気持ち」といったやりがいや熱意が生まれ、課題解決に積極的に取り組むようになると考えられます。こうした従業員一人ひとりの想いが相乗効果を発揮し、組織全体の活性化や生産性の向上につながるでしょう。

生産性向上・業務効率化を推進する際の注意点

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ここまで、業務効率化・生産性向上に関する定義や背景、実現のポイントなどをお伝えしました。最後に、実際に生産性向上や業務効率化を進める際に注意しておきたい点についてご紹介します。

目的や目標をしっかりと共有する

まず前提として、何事においても既存の仕組みを変える上では必ず「変化を実行する目的と目標」が従業員に周知され理解されている必要があります。
生産性向上・業務効率化といった目標を掲げる上で「なぜそれが必要であるのか」「どのように変えることがゴールなのか」といったビジョンを共有できていないと、効率化を推進する側と実際に業務に取り組む従業員層との間に認識のズレが生じ、目標達成が困難になることが懸念されます。

業務を把握している人が業務設計をする

加えて、業務効率化や生産性向上を目指す上で欠かせないのが「現場の立場で業務フローの設計を行う」ことです。
経営面の事情などを優先するあまり、現場の声を加味していない斬新な業務プロセスやルール、新たなシステムが結局定着せず失敗する、というのはよくある例です。そのため、企画段階のうちからできるだけ現場の声をすくい上げることや、改善対象となる業務への知識を十分に備えているメンバーが業務設計に携わることが必要です。

導入したツールやシステムが定着するようにする

さらに、業務効率の向上を狙って新たなシステムやツールを導入する際には「導入して終わり」と満足するのではなく、継続的に効果測定を行うことが重要です。
効果測定を行わなかった場合、実は導入したツールが自社の環境とマッチしていなかったケースや、ほとんど利用されず投資に見合う効果が得られないことも考えられます。新たなツールやシステムを導入したことで逆に効率が悪化した、という失敗の原因ともなり得ます。
そのため、導入したツールやシステムを定着させるためのアプローチを継続することが重要だといえるでしょう。

まとめ

業務効率化と生産性向上の違いとは?働き方改革で行うべき具体的な施策から注意点まで紹介

今回は、業務効率化と生産性向上の違いやそれぞれの重要性などについてご紹介しました。
業務効率化や生産性向上といってもその間口は広く、どのような点から着手すれば良いか困ることもあるでしょう。まずは自社の問題点を入念に洗い出し、適切な課題解決策を進められる体制を構築することが重要です。

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