企業の固定費の削減方法!変動費との違い・コスト削減方法を紹介

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2021年06月10日 配信
2024年04月16日 更新

企業の固定費の削減方法!変動費との違い・コスト削減方法を紹介

企業の固定費の削減方法!変動費との違い・コスト削減方法を紹介
BPO,コミュニケーション

あらゆる企業にとって課題になりやすい「経費削減」や「コストダウン」ですが、実際にこれらの課題に取り組むとどのようなメリットがあるのでしょうか。 そこで今回は、経費削減のメリットや固定費と変動費の違いなどについて整理しつつ、実際に固定費を削減するためのポイントや方法、アイデアをご紹介します。

企業における経費削減のメリットとは?

企業における経費削減のメリットは

経費削減やコストダウンには多くのメリットがありますが、「コスト面の改善」だけにとどまらず「生産性・業務効率の向上」「従業員のモチベーション向上」などの効果も期待できるとされています。
まずコスト面の改善ですが、業務に関する経費を抑えることで予算をほかの用途に活用できるようになります。それだけでなく、売上に関わるコストを下げることで利益率の向上にもつながります。
利益率の向上は、既存のコストを見直すだけでも実現できるため、多くの場合、売上高を向上させるより負担をかけずに成果を得られる施策と言えるでしょう。
加えて、経費削減によって無駄を省くことは生産性向上・業務効率化に直結する行動であるとも考えられています。例えば稟議書の取り扱いを「紙媒体」から「電子管理」に置き換えるだけで、印刷費はもちろん文書管理にかかる工数や承認プロセスの短時間化といった効果をもたらし、さらには業務フローを可視化することで属人化を防ぐことにもつながります。
経費削減により利益率や生産性が向上することで、企業はもちろん従業員にも大きなメリットがもたらされます。定型化したタスクの処理に追われる時間を、本来力を入れるべき業務に利用できるようになることで、現場は大きく活性化するでしょう。その結果、従業員のモチベーションは向上すると言えます。

企業経営の基本!固定費と変動費の違いを整理

企業固定費の削減方法!変動費との違い・失敗しないコスト削減を紹介

企業経営では多種多様なコストが発生しますが、それらは「固定費」と「変動費」と大別して考えられます。ここでは固定費と変動費の違いを見ていきましょう。

固定費とは

固定費とは、企業の業績や売上高、季節などに影響されず一定的に発生する費用全般を指す言葉です。人件費や福利厚生費、家賃や減価償却費などがこれにあたります。
ほかにも、通信費や水道光熱費などのインフラ費用も増減はしますが一定の金額が常時発生するため、固定費として捉える場合があります。

企業活動においては売上の増減に関わらず一定金額が発生することから、固定費は経費削減を検討する時になるべく優先してコストカットを目指したい費用のひとつです。利益を「売上-固定費」と単純化して考えると、固定費を抑えれば抑えるほど多くの利益が獲得できるためです。

変動費とは

変動費とは受注件数・生産量・販売量などの増減に比例して発生する費用のことを指します。原材料費や仕入れといった原価に関わる部分のほか、輸送費や外注費などもこれに該当します。
変動費にあたる費用の多くは企業のビジネスと直結しているため、固定費に比べて削減できるかを見極めづらい側面があります。基本的には「売上に応じて支払う額が変わるコスト」と考えられるため、まずは固定費を優先的に削減していくことが企業の経費削減における重要なポイントとなると考えられています。

固定費と変動費からわかる経営指標

固定費と変動費からわかる経営指標

固定費と変動費から、会社経営において重要な指標を求められます。ここでは「限界利益」「限界利益率」「損益分岐点」の3つの指標についてご紹介します。

限界利益

「限界利益」とは、売上高から変動費を差し引くと算出できます。商品やサービスを販売した際に得られる利益のことで、限界利益が大きいほど直接得られる利益が大きいことを示しています。
一般論として、限界利益にマイナスが出ている場合、その事業を継続することは難しいとされています。

限界利益の計算式は、以下の通りです。
「限界利益=売上高ー変動費」

限界利益率

売上高に対して限界利益が何割を占めているかを表す割合を「限界利益率」と呼びます。売上が一定額増えた時に、どれくらいの割合が利益の増加につながるかを示す数字です。
一般的に、限界利益率が25%を超えないビジネスの黒字化は難しいと言われています。

限界利益率の計算式は、以下の通りです。
「限界利益率=限界利益÷売上高」

損益分岐点

「損益分岐点」とは、売上高と費用がちょうど等しくなる境目であり、利益も損失もゼロになる状態です。損益分岐点より売上高が上回れば黒字であり、下回ると損失が出て赤字であるとわかります。

損益分岐点の計算式は、以下の通りです。
「損益分岐点=固定費÷限界利益率」

損益分岐点を把握すれば、どのような経営判断を下せば良いかが見えてきます。
例えば、「売上高がいくらであれば損益分岐点を超えて利益を出せるのか」がわかります。仮に固定費が60万円、変動費が50万円、売上高が100万円の場合、限界利益率は(100万円-50万円)÷100万円=50%となります。損益分岐点は60万円÷50%=120万円となり、黒字にするには現状より売上高を20万円増やすことが必要と判断できます。

ほかにも、経営に欠かせない固定費を回収するためには限界利益率がいくらになれば良いかも判断できます。
前述した例で言うと、損益分岐点が120万円、固定費が60万円であるため、「120万円=60万円÷限界利益率」の計算式になります。つまり、限界利益率が50%になれば固定費の回収が可能ということになります。

さらに、固定費や変動費をどれくらい下げれば利益が出るのかということも、損益分岐点から把握できます。
損益分岐点は売上高から費用を引いた地点を指すため、現在の固定費や変動費の合計が減るほど、少ない売上高でもプラスの利益が得られることになります。

企業の固定費を削減する方法

企業固定費の削減方法!変動費との違い・失敗しないコスト削減を紹介

ここからは、より具体的に企業の固定費を削減するための方法やアイデアなどを整理してご紹介します。自社の現状や課題と照らし合わせて、取り組みやすい内容から検討してみてください。

時間外労働の抑制・アウトソーシング活用による人件費削減

固定費のなかでも大きな割合を占めるのが、人件費に関する項目です。多くの企業では正社員以外にも契約社員、パート・アルバイトといったさまざまな雇用形態の従業員が活躍していますが、時間外労働などが影響し人件費がかさむケースがあります。
解決策のひとつとして挙げられるのが、例えば事務作業や入力業務などの定型的な業務をBPOサービスの活用で外注し、時間外労働を削減することです。アウトソーシングの活用で、それまで固定費だった費用を変動費で計上できるようになります。
また定型業務のアウトソーシング化により、従業員は商品・サービスの開発や改善などの戦略的な業務に注力することが可能になります。その結果、企業の競争力強化につながり、売上に対する固定費の比率を減らす作用も期待できるでしょう。

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ペーパーレス化

多くの企業で課題となっている事柄のひとつに、紙ベースで進められる業務の効率化が進んでいないことが挙げられます。ペーパーレス化は業務効率化に加え、固定費の削減にも大きな効果を発揮する施策と言われています。
例えば紙ベースで進められる業務では、印刷用紙やインクカートリッジのランニングコスト、プリンター機器の購入やメンテナンス、紙の書類を保管しておくためのファイルやキャビネットの購入など、さまざまな備品調達に費用がかかります。また、膨大な書類の保管スペースには賃料も発生します。加えて、紙の請求書や契約書を相手先へ郵送する際の封筒や切手代も必要です。そして、書類作成から発送、保管など手間のかかる作業に人件費もかかります。ペーパーレスへの移行は、このようなコストの削減につながります。
ペーパーレス化の代表的な方法として、普段紙面でやり取りしている業務のシステム化や、会議資料をデータで確認することの習慣化などがあります。特に文書管理にはコストとともに多くの管理工数も必要となるため、パソコン上ですべてを管理できるCRMやSFAなどのクラウドツールの利用も効果を発揮するでしょう。

オフィス賃料の見直し

固定費の削減策として無視できない要素に「オフィスの維持費」があります。 具体的にはオフィス賃料や水道光熱費などのコストですが、テレワーク化が進んでいる昨今では、オフィスの都心部から郊外への移転や規模縮小といった取り組みを進めている企業も少なくありません。「現場でなければ進まない」という仕事も数多く存在するものの、ビジネスチャットやオンライン会議などのツールが定着化した今、リモートワークの利便性は大きく高まっています。
例えばオフィスのフリーアドレス化と、出社とリモートワークを選択できるハイブリッドワークの導入を組み合わせることで、オフィス勤務者の人数を調整でき、オフィス規模の縮小も検討できるでしょう。
その結果、「オフィスから人が減った」「客先への訪問機会が減り、オンライン上での商談が増えた」といった声があれば、オフィスをより安価な場所に移すことも検討すると良いでしょう。維持費用が高額になりがちな都心のオフィスは限定的な機能に絞って、残る機能を郊外のオフィスに移し、シェアオフィスやコワーキングスペースを有効活用すれば、柔軟なオフィス設計により賃料の総額を削減することも可能です。

車両費の見直し

社用車などにかかる車両費も、見直すことで固定費の削減につながります。社用車の利用においてはガソリン代や駐車場代のほか、固定資産税や自動車税などの税金関連においても相当の費用が発生します。 適切な維持管理のためのメンテナンス費用や車検代などもかさむため、企業にとって大きな負担です。
そこでカーシェアリングサービスの利用や、ハイブリッドカーや電気自動車への置き換えをすれば大幅なコストカットが期待できるでしょう。客先との会議や商談をできるだけオンラインに移行させ、出張などの移動回数を減らすことも有効な手段のひとつです。どうしても車両が必要な時にはレンタカーを活用するなどで、車両費にかかるさまざまな費用を抑えることも可能です。

光熱費の見直しと削減

オフィスや事業所では日々電気・水道が使用されており、削減したい経費項目のひとつです。
単なる節約以外で光熱費の見直しにおすすめなのが、サービス提供会社の契約変更です。2016年の電力自由化を受けて多くの企業が市場に新規参入を果たしたため、従来よりもサービス選択の幅が広がっています。長期的に見ても非常に有効な経費削減案になるため、光熱費の見直しの時にはチェックしておくと良いでしょう。
また、照明器具のLED化や、古い電化製品を最新型の製品に買い換えることでも、光熱費の見直し効果があります。機器の購入費用は発生しますが、こうしたランニングコストの見直しは、長期的にみると大きなコスト削減につながります。

広告宣伝費の見直し

商品やサービスの認知向上、販売促進の施策であるプロモーション活動は、企業にとって必要不可欠です。
モノやサービスがあふれている現代社会においては、どれだけ顧客にメリットや価値を理解してもらえるかが売上を左右します。一方で、現在取り組んでいる広告宣伝の方法が、売上に貢献していないのであれば見直しが必要です。そのため、広告宣伝費の見直しは、固定費削減の対策として検討すべきポイントといえます。

まずは、広告によりどのような効果があがっているか測定を行い、費用対効果を確認しましょう。出稿媒体にもよりますが、効果を測る指標には、認知度についてのアンケート調査や商品・サービスの販売数、リピート数、Webサイトへの訪問者数や問い合わせ数などが挙げられます。
加えて、出稿媒体そのものを見直すことも重要です。テレビCMや新聞広告などの広告媒体は高額になりがちです。比較的低額からも取り組めるインターネットやSNS広告の利用も検討し、ターゲットへのリーチがより効果的にできる媒体を検討すると良いでしょう。

効果が見込めない広告媒体への出稿をとりやめるだけではなく、広告宣伝を行う頻度やタイミングを見直すことも戦略のひとつです。新商品・サービスのローンチに合わせて広告宣伝費を集中するなどして、効率的に広告宣伝費を使うことなども検討すると良いでしょう。

固定費削減をする際の注意点

では、固定費削減にあたってどのような点に注意を払えば良いのでしょうか。経費削減を進める時におさえておきたいポイントは、「従業員のモチベーションを下げない」「無理な経費削減しない」「長期的な視点で、組織的に固定費削減を目指す」の3つです。ここでは、それぞれの項目を整理してお伝えします。

従業員のモチベーションを下げない

前述の通り、経費削減にはさまざまなアプローチがあり、なかには既存の仕組みや環境を変えるものも存在します。場合によってはオペレーションを大きく改革することで、現場の従業員から不満の声が上がることもあるでしょう。
特に就業環境の快適さや、業務効率を下げるおそれがある経費削減案については、これらの実行によりモチベーション低下を招かぬよう慎重に検討することが望ましいとされています。
固定費の削減においては、経営層だけでなく従業員に当事者意識を持たせることも重要です。例えば、水道光熱費や交通費、接待交際費などは、従業員一人ひとりの節約意識で大きな削減も見込める項目です。
日々の業務のなかでかかる固定費についての現状や、明確な削減目標を従業員にも説明し、全社でコスト意識を高めることで成果につなげやすくなるでしょう。

無理な経費削減はしない

無理な経費削減を断行しないことも重要です。
経費のすべてが無駄というわけではなく、あくまでも「改善の余地」を追求していくことがコストカットのポイントとなります。そのため、やみくもに交通費や消耗品費の削減、既存の業務プロセスを鑑みず時間外労働を一律で禁止とする削減案は避け、あくまでも現場に寄り添う形で経費削減を進めていきましょう。
対顧客、対取引先の視点から見ても、無理なコストカットはマイナスに作用する可能性もあります。自社の経費削減を理由に、相手にとって不都合な環境の変更を行い、顧客や取引先に迷惑をかけるのは本末転倒です。
サービス低下につながらないことを判断基準に置くことも、重要なポイントと言えるでしょう。

長期的な視点で、組織的に固定費削減を目指す

経費削減は一朝一夕で完遂できるものではなく、長期的なアプローチが求められます。特に固定費のなかには簡単に削れない項目も存在するでしょう。
そのため、経費削減の上で求められるのは長期的な視点です。1カ月間などの短期的な目標ではなく、年間を通した目標を設定した上で、慎重かつ具体的な改善案を社内に広め、必要性や削減すべき理由を組織全体で共有した上でコストダウンを目指していきましょう。
長期的な固定費削減の目標を設定するには、毎月どのような固定費がかかっているかを洗い出すことが先決です。帳簿の記録から固定費に焦点を当て、無駄が発生していないか、過度な出費はないかなどを明確にしていきます。消耗品費や車両費、光熱費など、大まかに分類している経費については、具体的にどのような項目に費用をかけているかを細分化すれば、コストの無駄遣いが見えやすくなります。
このように固定費の内訳に向き合うことで、「どの固定費をどれくらい削減するか」といった具体的な目標を立てやすくなるでしょう。

まとめ

今回は企業経営を考える上で欠かせない「経費削減」にまつわる話題を解説しました。
特にコストカットを推し進めやすい固定費には、時代の変化により以前より優先度が高くないものも存在するはずです。企業にとっての要不要を見分けつつ、最善のパフォーマンスとなるよう経費の見直しを継続的に進めていってはいかがでしょうか。

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