すぐできる!事業継続計画(BCP)策定の4ステップと4つのポイントをご紹介

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すぐできる!事業継続計画(BCP)策定の4ステップと4つのポイントをご紹介

2016年4月、最大震度7を観測した「熊本地震」が九州地方で発生しました。多くの地元企業が被災し、事業継続が困難となったケースは少なくありません。一方で、事業継続計画(BCP)を策定していた企業においては、迅速な初動対応により早期復旧を実現しています。今回は、緊急時の事業継続マニュアルとして機能する事業継続計画(BCP)の基礎知識に加え、事業継続計画(BCP)を策定することのメリットや課題、策定手順やポイントをご紹介します。

目次

    事業継続計画(BCP)とは

    「事業継続計画(BCP)」とは、自然災害などの緊急事態発生時に事業を継続するため、もしくは事業が停止した場合に一刻も早い復旧をするための計画、およびマニュアルそのものを指します。一般に防災対策と混同されてしまいがちですが、これらは別物です。

    事業継続計画(BCP)と防災対策とでは、目的や想定する緊急事態の範囲も、取り組みにフォーカスする時期も異なります。

    事業継続計画(BCP)の目的は、「事業を継続させること」です。
    そのため、地震・風水害や感染症の蔓延、テロ攻撃といった一般的に災害として想定される事象のほか、サイバー攻撃や突然の停電、いわゆるバイトテロなどの外的要因・内的要因を問わず、事業を停止させ得るすべての緊急事態が対象となります。
    緊急事態が起きた後に、いかに初動対応を迅速におこない事業を継続させるかが問われるため、フォーカスされるのは「事後対応」です。

    対して防災対策の目的は、従業員や顧客の命および施設などの会社財産を守ることです。
    従業員たちの安全確保・安否確認に焦点を当てているので、主に自然災害など従業員たちの身の安全が脅かされる緊急事態を対象としています。人や施設などの経営資産が失われないように災害を未然に防ぐこと、被害をなるべく小さくすることを目指して対策をするため、基本的に防災対策は「事前対応」だと言えます。

    また事業継続計画(BCP)は事業を継続させるため、自社のあらゆる拠点はもちろん、場合によってはサプライチェーン先や他社と共同で対策を練ることもあります。対して防災対策は、災害などの緊急事態が起きた拠点ごとの対策を考えることがほとんどです。

    事業継続計画(BCP)も防災対策も、どちらも企業防災において重要な要素であり、緊急事態から企業と従業員を守るために必要な取り組みです。

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    事業継続計画(BCP)が注目された背景

    事業継続計画(BCP)の誕生は、1970年代にさかのぼります。「緊急時に事業を継続させるための手法」として、当時アメリカやイギリスで注目されました。それから約30年後の2001年、世界同時多発テロが発生しました。これをきっかけに、全世界の企業が事業継続計画(BCP)の重要性について考えるようになったとされています。

    一方、その当時の日本では、事業継続計画(BCP)はほとんど浸透しませんでした。テロ攻撃に対する現実味をあまり感じることができなかったため、事業継続計画(BCP)を重視する国内企業は少なかったようです。本格的に周知・浸透し始めたのは、2011年3月に発生した東日本大震災以降のこととされています。

    「帝国データバンク」が2011年に実施した「 事業継続計画(BCP)についての企業の意識調査」によると、東日本大震災以前に事業継続計画(BCP)を策定した国内企業は、全体の7.8%に留まりました。一方、「株式会社NTTデータ経営研究所」が2019年3月に実施した「東日本大震災発生後の企業の事業継続に係る意識調査(第5回)」において、「策定済み」と回答した企業は43.5%となっています。「策定中」まで含めて64.9%と、事業継続計画(BCP)に対する企業意識の高まりが顕著となりました。

    近い将来、南海トラフ地震や首都直下型地震など、大規模災害の発生が予測されています。それらへの備えとして、事業継続計画(BCP)の策定を急ぐ国内企業が増えると考えられます。

    なぜ事業継続計画(BCP)が必要なのか?

    災害など緊急時は、初動対応のスピードと内容が肝心だといわれています。そのための手段や方法をまとめた、大変重要なものである事業継続計画(BCP)ですが、現時点では日本の法律において策定が義務化されていません。

    先述した「東日本大震災発生後の企業の事業継続に係る意識調査(第5回)」においても、12.3%が「策定予定なし」と回答しました。さらには7.2%が「わからない」と回答するなど、事業継続への意識が低い、または元より諦めている企業が一定数存在すると推測できます。

    しかし、自然災害などの緊急事態に対する準備不足は、人的被害やインフラ機能の停止による事業の中断を招きかねません。また、従業員に人的被害がおよんだ場合、労働基準法に定められている「安全配慮義務」に違反するとして、訴訟問題に発展する可能性もあります。

    従業員を守り、事業を継続させることで顧客をも守ることは企業の責務です。加えて、事業継続計画(BCP)を策定することで得られるメリットもあります。

    緊急事態発生時においては、いち早く事業を復旧させることが顧客の流出や市場シェアの減少防止につながります。あわせてリスクマネジメントに長けている企業として、顧客や市場からの信頼度・評価が上がるということも起こり得ます。

    平時においても、事業継続計画(BCP)を策定していく過程で「自社の業務における重要度・優先度」「自社の強み・弱み」が明確になるため、事業見直しなどのきっかけになります。
    加えて事業継続計画(BCP)において緊急事態時の行動を定めることで、従業員一人ひとりが緊急事態に対する危機感を持つことができることもメリットです。従業員の意識と自主性を高め、いざという時に迅速な対処が可能になります。

    緊急事態が起きてから、対策を考えるのでは間に合いません。近年の自然災害の発生状況や、地域別の防災対策などを考慮した上で、迅速に事業継続計画(BCP)を策定することが必要です。

    事業継続計画(BCP)策定の4つの手順

    ここでは、事業継続計画(BCP)策定のための具体的な手順をご紹介します。

    1.プロジェクトチームの編成

    事業継続計画(BCP)はその性質上、自社におけるさまざまな部門が関わって作成すべきです。一般的には、各部門から人員を招集し、プロジェクトチームを編成して進めます。例えば総務部など、取りまとめをおこなう部門が事務局となり、全体の進捗管理や作業量の配分などをするケースが大半です。

    2.優先する中核事業の選定

    自社のさまざまな事業のうち、「会社の存続にかかわる最も重要性(または緊急性)の高い事業」、つまり自社の中核事業を選定します。

    中核事業の選定には、会社において重要と思われる事業をいくつかあげて、その中から優先順位をつけていきます。

    事業に優先順位をつける際のポイントは2つ、「重要度」と「頻度」です。もしその事業がストップした場合、どれだけ自社に損失を与えるのか、またその事業はどれ位の頻度で発生するものか、2つの視点で判断します。

    次に、中核事業の継続に特に必要な経営資源(ヒト・カネ・モノなど)を思いつく限り洗い出しておきます。

    3.中核事業が受ける被害を想定する

    自然災害などの発生時、選定した中核事業がどの程度の影響を受けるのかを検討します。自然災害は地震や風水害などがあげられますが、中核事業に関連する部門所在地における自然災害の発生率を調査し、災害によって中核事業や経営資源がどれ位の影響を受け、事業継続にどの程度支障を及ぼすのかを想定しておきます。
    また被害を受けた際に、建物や設備の復旧にはどれ位の費用と時間が必要か、また復旧までの事業中断期間の損失はどの程度かも、あらかじめ分析しておきましょう。

    4.復旧に向けた動き方を決める

    被害発生からの復旧に着手する時、まず自社内で「どのように動き始めるか」を考えておきます。一般的に、初動は「現状把握」です。どこに、どのような被害が発生したのか把握し、中核事業の継続に不足している“モノ”や“情報”を見極めます。現状把握には、部署を超えた情報共有および協力体制が欠かせません。有事において、迅速に行動を開始できる体制を整え、事業継続計画(BCP)にも明記しておくことが大切です。

    現状把握の完了後は、「移行・代替」の段階に移ります。どの部門が中核事業の代替対応やバックアップをおこなうか、その対応にはどのような事前準備が必要かなど、事業継続するための対応策を明らかにします。

    その後は、業務を「復旧」するための動きを考えます。設備やネットワーク構築といった物理的・技術的な復旧をどの手順でおこなうのか、復旧に必要な情報は何かを洗い出しておきます。

    事業継続計画(BCP)を機能させる4つのポイント

    事業継続計画(BCP)を効果的に機能させる4つのポイントをご紹介します。

    1. 事業継続計画(BCP)の対象は中核事業に絞る

    事業継続計画(BCP)の策定範囲は、企業収益の大半を占め、会社の存続に影響を及ぼす中核事業に絞ります。なぜなら、中核事業の早期復旧は、収益面の安定に直結するためです。事業数の多い企業ほど、事業継続計画(BCP)における選択と集中、策定範囲の見極めが重要となります。

    2.顧客と協議をして目標を定めておく

    事業継続計画(BCP)を策定していても、緊急事態時に中核事業を即座に通常と同じレベルまで復旧させることは困難です。顧客とあらかじめ「緊急事態発生からどの程度の時間で、通常の何割程度まで事業を復旧すればよいか」を協議して、目標設定をおこなっておきます。

    目標の設定には、顧客との関係や社会に与える影響などを考慮して決めることをおすすめします。ただし、顧客や社会が求める「どの程度の時間で、通常の何割程度の事業を復旧してほしい」という要望に、必ずしも応えられるわけではありません。

    実際には実行が不可能だと思われるような計画では、顧客の信頼は得られません。また緊急事態時に「計画通りに進まない」と一層現場を混乱させることにもなりかねません。
    対策コストは許容範囲内であるか、計画通りに実行することができる人材や環境はそろっているか、社内外との協力体制がとれるのか、といったことを一つひとつ確認していきましょう。現実と目標とのギャップを認識した上で、あらためて実際に実現可能な目標を設定することが必要です。

    3.具体的な動き方を明らかにする

    事業継続計画(BCP)にまとめる緊急時の動き方は、具体的に明記します。抽象的な内容では、有事の際に現場の混乱を加速させます。「〇〇発生時は××をする」といったように、予測できる局面別での動き方を、簡潔かつ具体的に明示するとよいでしょう。
    中核事業を継続するためには、製造拠点やサプライヤーが被災した場合など、さまざまな事態を想定して代替案を策定しておくことも重要です。

    4. 事業継続計画(BCP)に沿った対応訓練を実施する

    事業継続計画(BCP)は、策定しただけでは意味がありません。常日ごろから内容を周知することに加え、定期的な訓練や講習会を実施し、役職に関係なく全従業員の意識向上を図ります。また、被害を最小限におさえるための防災訓練の観点では、自治体や消防署との共同訓練なども有効です。

    策定した事業継続計画(BCP)と運用状況を検証する

    策定した事業継続計画(BCP)は定期的に見直しをおこない、改善し続ける必要があります。見直しの際に活用できるのが、中小企業庁のWEBページ「中小企業BCP策定運用指針」にある「基本コース」です。
    同ページでは、BCP策定や運用状況の自己診断をおこなうことができます。計66の質問に対し、「はい」か「いいえ」で回答するチェックシート形式のページです。回答結果を参考に、策定したBCP策定・運用状況の自己診断に問題がないかの確認に有効です。

    事業継続計画(BCP)の課題と問題点

    緊急事態時に中核事業を継続、または、早期に復旧させるために有効な事業継続計画(BCP)ですが、課題や問題点もあります。

    コストがかかる

    有事の際に機能する事業継続計画(BCP)を策定するには、綿密な下調べ、さまざまな部署からの人員の協力、顧客との協議、コンサルティングなどが必要です。さらに策定後にも、計画が実行できるようなコストの投入や従業員の教育が必要です。
    これらには人件費をはじめとするコストが発生します。いつ起こるかわからない緊急事態に対してコストをかけて対策をするのは、財政面から難しいと考える企業も少なからず存在します。

    事業継続計画(BCP)が機能しない可能性も

    「現実にマッチした的確な事業継続計画(BCP)が策定できていなかった」「事業継続計画(BCP)の想定を超える事態が起きた」などという場合、事業継続計画(BCP)が機能しないことも起こり得ます。検討の段階でできるだけ多くの事態を想定し、実現可能な事業継続計画(BCP)を策定することが必要です。

    まとめ

    自然災害などの緊急事態はいつ発生するかわからず、人間が制御することもできません。企業にできることは、災害発生前の備えです。早期に事業継続計画(BCP)を策定・周知し、内容を定期的に見直すことで、有事においても事業を継続・早期復旧できる体制を整えることをおすすめします。

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