非常食の賞味期限が切れるのはいつ?災害備蓄品を廃棄せずに備える方法とは

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2020年08月27日 配信
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非常食の賞味期限が切れるのはいつ?災害備蓄品を廃棄せずに備える方法とは

非常食の賞味期限が切れるのはいつ?災害備蓄品を廃棄せずに備える方法とは
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2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震をはじめとした大規模災害をきっかけに、多くの企業が防災対策の一環としてオフィスに非常食などの災害備蓄品を準備するようになりました。 しかし、備蓄している非常食の賞味期限までを管理できている企業は、少ないのではないでしょうか。もしもの時に非常食が賞味期限切れになっていては、せっかくの備えが無駄になりかねません。また、賞味期限切れの非常食を廃棄することは、近年の食品ロス(フードロス)問題の観点からも好ましくありません。 そこで今回は、企業防災の観点と食品ロスの観点から「ローリングストック法」をはじめとする非常食の賞味期限切れ対策に向けた取り組みを整理し、防災備蓄品を管理するためのポイントについてご紹介します。

非常食の賞味期限の目安は?

非常食の賞味期限が切れるのはいつ?災害備蓄品を廃棄せずに備える方法とは

非常食にはさまざまな種類があり、それぞれの賞味期限には1年から10年までと大きな開きがあります。 非常食の賞味期限切れについての対策をご説明する前に、代表的な非常食の賞味期限の目安をご紹介します。

お米(アルファ化米):賞味期限3~5年程度

アルファ化米は水や熱湯で戻して食べるタイプの非常食です。防災備蓄品として乾燥保存されているため、多くの製品が3~5年程度の保存に対応しています。

飲料水:賞味期限5~10年程度

1日あたり3リットルの備蓄が必要とされる飲料水には、長期保存に適した防災備蓄専用の「保存水」があります。
保存水の賞味期限は5年から10年程度で、通常のミネラルウォーターと比べ2~5倍長持ちします。

乾パン:賞味期限1~5年程度

非常食の代表格として知られる乾パンには、缶入りのタイプと袋入りタイプの製品があります。
袋入りタイプの賞味期限は1年程度ですが、缶入りタイプのものは賞味期限5年と長期保存に適しています。

缶詰:賞味期限3年程度

農林水産省も非常食としてストックしておくことを推奨している缶詰の賞味期限は、2~3年程度とされています。一部、自衛隊用の食料品など特殊な製品の中には5年以上の保存が可能なものも存在しますが、市販製品の多くは最長3年程度のようです。

レトルト食品:賞味期限1~6年程度

非常食としてレトルト食品を備蓄することも一般的ですが、多くのレトルト食品の賞味期限は1~2年程度とされています。そのため、数年にわたる長期保存には向かず、期限切れを迎える前に適宜消費していくことが必要になります。
ただし、一部のレトルト食品には6年以上という長期保存に適した備蓄専用のものもあります。非常食としてストックするには、このような専用の製品を購入するとよいでしょう。

防災対策における非常食の重要性

非常食の賞味期限が切れるのはいつ?災害備蓄品を廃棄せずに備える方法とは

企業防災には、従業員や設備への災害被害を最小限にする「防災」と、企業活動の維持または早期復旧を目指す「BCP(事業継続計画)」の両面があります。

災害時は、従業員が施設内に数日間とどまる事態も起こり得るため、従業員の命を守る防災対策においては、必要量の非常食を備蓄しておくことがとても大切です。たとえば、 「東京都帰宅困難者対策条例」において、東京都は事業者に従業員の3日分の水や食料などを備蓄する努力義務を課しています。

しかし、前述の通り非常食といっても、何十年も保存が可能なわけではなく、数年ごとに新しいものに切り替えていかなければ肝心な時に食べることができません。災害時に備蓄してある非常食を活用するためには、普段から賞味期限を管理しておく必要があります。
とはいえ、非常食を賞味期限切れで廃棄することは、食品ロス防止の観点から好ましくありません。 賞味期限の管理には、非常食を廃棄せずにいかに有効に活用するかという視点も欠かせないのです。非常食を有効活用する方法のひとつが、次でご紹介するローリングストック法です。

「ローリングストック法」で循環的な非常食備蓄を目指す

非常食の賞味期限が切れるのはいつ?災害備蓄品を廃棄せずに備える方法とは

非常食の賞味期限切れを予防して定期的な入れ替えをおこなうために有効として、いま注目されている管理方法があります。それがローリングストック法です。

ローリングストック法とは?

ローリングストック法は、非常食に限らず日持ちする食材を日ごろから備蓄しておき、災害の有無を問わず定期的に消費しながら新しい食材を買い足していく食料備蓄法です。非常食の期限切れを防ぎつつ、食品ロスも減らすことができる試みとして有効といえるでしょう。
ローリングストック法は家庭内での食料品備蓄方法として奨励されていますが、もちろん企業でおこなうこともできます。

ローリングストック法のメリット

ローリングストック法の最大のメリットは、賞味期限切れを防ぎながら食品ロスが減らせることです。さらに、このほかにもいくつかのメリットが存在します。

食べ慣れた食品を備蓄できる

一般的に非常食といわれるものには、アルファ化米や乾パンなど普段食べ慣れないものが多くあります。これではいざという時に、「食べ方がわからなくて戸惑った」「子どもが非常食を食べたがらずに困った」という事態になりかねません。
しかし、備蓄を日常的に消費しながら循環させていくローリングストック法であれば、賞味期限の長さをそこまで重要視しなくてすみます。つまり、日常的に消費する食べ慣れた食品を備蓄すれば良いのです。心身共に負担のかかる災害時だからこそ、「いつもの味」を準備しておくことは重要だといえるでしょう。

また、賞味期限の長い非常食は日常品よりも高価になりがちです。高価な上に使用するかどうかわからない非常食を備蓄するよりローリングストック法のほうが、経済的な観点から見てもメリットがあります。

「もしもの事態」を意識する機会が増える

常に備蓄を切らさないように循環させていくことで、非常食やもしもの事態について意識する機会が増えるというのも大きなメリットです。災害時を想定した心構えをしておくことは、いざという時の迅速で的確な行動につながります。

ローリングストック法を実施するためのポイント

食品によって賞味期限の長さはさまざまです。とくに食べなれた「いつもの味」を備蓄する場合には、一般的な非常食よりも賞味期限が短いことが想定されます。ローリングストック法を円滑に実施していくためのポイントは「食品ごとの賞味期限をしっかり把握すること」「古いものから使用すること」を徹底することです。

使用した分はすぐに補充をします。災害はいつ起こるかわかりませんので、備蓄が不足している期間をつくらないというのも大切なポイントです。

企業でローリングストック法を実施するのであれば、備蓄をいかに循環させるかという点も重要です。家庭のように備蓄品を日々の食事で消費することが難しい代わりに、従業員の防災意識を向上させるきっかけとして、備蓄品を消費する機会づくりをしてはいかがでしょうか。

たとえば、災害対策用品を管理する時に各非常食の賞味期限をリスト化しておきます。そして、期限切れが迫った食料品を従業員に配布して食べてもらったり、防災訓練のプログラムとして取り入れたりするのです。
BCP(事業継続計画)では、企業で定期的に防災訓練をおこなうことを求めています。そのプログラムに「非常食を食べる」といったイベントを盛り込み、従業員に防災備蓄品の存在を周知し、非常食に触れてもらうといった試みを実践することは、防災意識の向上に有効です。

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ローリングストック法におすすめの食品とは

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ローリングストック法では、常温保存ができるもの、そのままで食べられるもの、温めて食べるもの、お湯を注いで食べるものなどを組み合わせて備蓄しておくことがおすすめです。 ただし、企業用か家庭用かでそろえるべき内容は異なります。企業ではかさばらず賞味期限が長めのものがおすすめですし、家庭では離乳食や子どもの食べやすいものなど、家族構成や嗜好に合わせたものや冷凍食品なども利用することをおすすめします。
必要量は、少なくとも「人数×3日分」とされています。企業・家庭どちらでも使い勝手が良いおすすめ食品と、1人あたりどれくらいの量の備蓄が必要なのかの目安を表にまとめました。

種類 おすすめ食品 備蓄の目安(1人分)
飲み物 ペットボトル入りの水 1日3リットル・計9リットル
主食 クラッカー・カップ麺 1日3食・計9食
おかず カレーなどのレトルト食品
ツナ・コンビーフ・果物などの缶詰
1日3食・計9食
菓子類 ビスケット・栄養補助食品など 1日3食・計9食

水は必須のアイテムです。飲料としての利用だけでなく、調理や傷を洗い流すなど生活用水としても多様な使い方ができるため、お茶や甘味飲料ではなく水を1人あたり9リットル準備します。
おかずと菓子類は9食ずつなくてもかまいませんが、お湯が手に入らない時などに主食の代わりにすることもできるので備蓄をしておくと安心です。
一緒に、カセットコンロ・ボンベ数本・使い勝手の良い大きさの鍋なども常に備蓄をしておきます。

「フードバンク」の利用など、非常食を寄付して社会貢献する

企業で備蓄している大量の非常食を、社内で100%消費し切るのは難しいかもしれません。そこでおすすめなのが、非常食を各所に寄付して社会貢献に生かす方法です。
たとえば、「フードバンク」という、賞味期限切れが近い食品を福祉施設などに無料で提供する活動をおこなっている団体では、食品の寄付を随時募集しています。
こういった団体へ期限が迫った非常食を寄付すれば、廃棄・消費にかかるコストを抑えつつ食品ロスを防ぐことができます。 また、世界各地の災害が発生している地域や、食糧危機に見舞われている地域へと非常食を寄付することもひとつです。
食品ロスゼロを目指しながらも社会へと貢献することもできるため、非常食の寄付についても検討するのはいかがでしょうか。

企業防災の観点からも、非常食の準備と管理の徹底は必須

いざ災害に直面した時、防災備蓄品が活用できなければせっかくの備えも無駄になりかねません。
非常食の賞味期限・消費期限の管理を徹底し、そのほかの防災備蓄品についてもストック状況を可視化しておくことが企業防災において重要です。 また、食品ロスを防ぐためにも、ローリングストック法などを念頭に置いた管理をおこない、常に非常食の必要量を確保しておくことが重要です。

非常食管理の助けとなるサービスとは

非常食管理の重要性は理解できていても、日々さまざまな業務に追われ、非常食の管理にまで手が回らないという企業は少なくないでしょう。 パソナ日本総務部では、総務向けBPOソリューションの一環として、法人向け防災備蓄品の新規購入や在庫品の確認、 賞味期限の管理や期限切れが近づいた非常食の回収※などを一手に引き受ける「 防災備蓄品ワンストップサービス」を提供しています。
※期限切れ間近の非常食回収サービスは、首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)のみが対象です(2020年8月現在)。

非常食はもちろん、寝具や衛生用品などの防災キットも含め災害対策のあらゆるアイテムを提供し、企業の災害対策を手厚くサポートいたします。
とくに期限切れが迫った非常食を事前に回収するサービスは、環境問題解決のための施策である「持続可能な開発目標(SDGs)」への取り組みという観点により行っています。食品ロスという社会問題への対策としても効果的です。
この機会にぜひ、パソナ日本総務部の「 防災備蓄品ワンストップサービス」の導入をご検討ください。

まとめ

非常食の賞味期限が切れるのはいつ?災害備蓄品を廃棄せずに備える方法とは

東日本大震災や熊本地震といった大規模災害から年月が経過し、当時災害発生を受けて準備した非常食の賞味期限も迫っているのではないでしょうか。
さらに、2019年には大型台風によって首都圏を中心に大きな被害が発生しました。「もしも」の時が来てからでは間に合わないため、非常食をはじめとした災害対策用品の管理には注力すべきでしょう。
有事の備えという観点からも、また、食品ロス防止という観点からも、非常食の賞味期限を管理することは重要です。家庭単位でも防災意識が高まりつつある現在、企業として将来起こり得る災害に備えた対応力を高めていくことが重要です。

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