企業における減災とは?防災との違いも解説

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企業における減災とは?防災との違いも解説

企業における減災とは?防災との違いも解説

近年、異常気象などで「想定外の」「これまでに経験がない」大規模災害が立て続けに発生しています。「防災」をすることはもちろん大切ですが、日本はそれだけでは対応しきれない状況におかれていると言えます。
そこで、「防災」とあわせて「減災」という考え方が徐々に広がりを見せています。「減災」は、1995年に起きた阪神・淡路大震災を機に重要視されるようになりました。
今回は減災とは何か、普段から家庭と企業それぞれで行うべき減災対策にはどのようなものがあるのか、中小企業が減災対策として防災設備に投資をした場合に受けられる優遇税制などについてご紹介します。

目次

    「新たなステージ」における減災対策の必要性

    企業における減災とは?防災との違いも解説

    日本は元来、地震や台風などの自然災害が多い国です。しかし、近年は地球温暖化にともなう気候変動の影響で、想定以上の被害をもたらす気象状況が頻発しています。
    こうした状況を受けて、国土交通省は2015年に「新たなステージに対応した防災・減災のあり方」を提唱し、危機感をもって防災・減災対策に取り組んでいく必要性を訴えました。災害被害をできるだけ最小限にとどめるためには防災だけではなく、減災にも常日ごろから取り組む必要があります。

    減災とは何か

    減災という考え方は、「災害が発生すること」を前提としています。政府の中央防災会議は、2018年に公表した「防災基本計画」のなかで「災害の発生を完全に防ぐことは不可能である」「できるだけその被害を軽減していくことを目指すべき」としました。
    災害が起こることを前提に、災害による被害をできるだけ小さくするための取り組みが減災です。

    減災と防災の違いとは

    減災と防災の違いは、「災害が発生すること」「被害が出ること」を前提にしているのか、していないのかにあります。
    災害が起こることを前提とした減災に対して、防災は災害そのものが発生しないようにする、または、災害が起きても被害が出ないようにするための備えや取り組みのことです。もちろん防災を怠ってはいけません。しかし、高齢化の進行・地域コミュニティの衰退などの課題を抱える日本においては、いざ災害が起こった際のリスクや脆弱性を加味して減災にもしっかり取り組む必要があります。

    災害発生のフェーズに応じた減災対策

    減災対策は大きくわけて災害発生前・災害発生時・災害発生後という3つのフェーズがあり、それぞれのフェーズでとるべき行動や重要となるポイントが異なります。
    ただしどのフェーズにおいても、事前にチェックすべきことを確認してできる準備を整え、決めるべき項目を決めて家族や社内などで周知・共有をしておくことが大切です。

    災害発生前にやっておくべき減災対策(内閣府推奨)

    企業における減災とは?防災との違いも解説

    災害発生前の減災対策で重要なのは、どのような災害が起こりうるかをできる限り想定し、その想定に対しての備えをしておくことです。
    ここでは、具体的に災害発生前にやっておくべき備えを、内閣府が推奨する減災のアイデアと照らし合わせつつご紹介します。

    公助だけでなく「自助」「共助」を意識する

    減災において大切となるのが「自助」「共助」を意識することです。「自助」は行政の手による「公助」に頼るだけでなく自分の命を自身で守ること、「共助」は身近な人同士で助け合うことを意味します。
    災害の発生時だけでなく、普段から防災意識を持ち事前の準備を怠らないことが、有事の際の被害を最小限にとどめ、身の回りの方々を救うことにつながります。

    行動範囲内の安全性・避難経路の確認

    自助への取組みの一つとして日ごろからハザードマップなどを活用し、自分の行動範囲内において、どこでどんな災害が起きやすいのかという危険地域の確認をしておきましょう。同時に自宅や勤務先の安全性についても確認をして、必要な対策を立てておきます。

    また家やオフィスからの避難経路を確保しておくことも重要です。大型家具の下敷きにならないように家具の固定や耐震マットの設置、またガラス片などに避難経路を阻まれないよう避難用のスリッパや靴を身近なところに置いておくことをおすすめします。

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    「地震に強い建物」を意識する

    減災において災害対策と同様に重要なのが、地震に強い建物を意識することです。建物の強さは、地震による被害の大きさを決める要素のひとつです。
    1981年には耐震基準法が一新されましたが、それより前に建てられたものは古い耐震基準に沿って建築されているため、地震に対する強度が足りない場合があります。耐震診断を受けて、結果に応じた補強をすることが必要です。
    1981年以降は従来よりもさらに厳しい基準をクリアした建物のみが建造されるようになりましたが、新耐震基準を満たしている場合でも、経年劣化によって耐久性が低下している場合があります。
    減災を意識する上では、自宅やオフィスの状態をよく確認し、こまめな整備点検を実施することが大切だといえます。

    家具の固定による「安全空間」の確保

    あわせて意識したいのが、家具やオフィス什器の固定による安全確保です。
    本棚やキャビネット、OA機器などの大きな家具や什器は、災害発生時の避難経路確保の妨げや、けがの発生など二次被害の原因にもなります。そのため、ある程度の高さや重さがある場合は必ず天井や壁、床などに固定し、有事に安全空間が確保できるようにしておきましょう。場合によっては配置場所の変更や、家具や什器自体を入れ替える検討も重要です。

    備蓄の確認

    災害発生時に命を救うための備えだけでなく、生き延びた後についての備えも必要です。防災用品をまとめた非常持ち出し袋や、ライフラインが止まったときの備えとして食料・飲料水・携帯トイレなどの備蓄を準備しておくことをおすすめします。
    備蓄は定期的に点検をして賞味期限切れのものはないか、お子様の成長に伴うオムツのサイズ変化など、必要なものに変化がないかなどという点を確認することも忘れてはいけません。

    連絡手段の確認(家族での防災会議)

    あわせて、災害発生時に家族とどうやって連絡をとるのか、どこで落ち合うのか、お子様の引き取りはどうすれば良いのかなども家庭内で決めておきましょう。
    平時から近隣や地域の人たちと声をかけあって、災害発生時などに協力しあえる関係をつくっておくことも大切な減災対策です。

    日ごろからのつながりを大切にする

    前述した「共助」の概念とも通ずる考え方です。
    日々過ごす自宅やオフィスの周囲には、心身にさまざまなハンディキャップを抱えて暮らしている方も多くおられます。お年寄りやお子様、障がいを抱える方々と有事の時に助け合えるように、日ごろから積極的なコミュニケーションを意識しておくことも減災につながります。

    災害発生時に行うべき減災対策

    災害発生時においては、まずは慌てないことです。避難マニュアルは事前に確認しておくべきですが、災害発生時は想定以上のことが起こることもあります。マニュアルにとらわれすぎずに、その場に応じた臨機応変な行動をとることも必要です。
    災害発生時に大切なのは、第一に自分の命を守ることです。助け合いは必要ですが自助があっての共助ですから、冷静に、しかし速やかに避難行動をとることを心がけてください。

    ただし、自分勝手な行動は被害を拡大させる恐れがあります。学校、企業、地域コミュニティなど、災害時に居合わせた場所に災害担当者や指示を出せる責任者がいる場合は、その指示に従うことが大切です。
    自分の命の安全を確保できたところで、災害用伝言ダイヤル171など、あらかじめ家族と取り決めた方法で連絡をとります。お子様が保育所・幼稚園・学校などにいるときに災害が起きた場合には、あらかじめ取り決められている方法で連絡・引き取りを行いましょう。

    災害発生後に行うべき減災対策

    災害発生後は状況に応じて、周囲の人と助け合いながら指定緊急避難場所や指定避難所へ避難をします。また状況を把握するための情報を得ることも大切です。
    ただし、災害時には偽の情報が必ずといっていいほど出回ります。それが正しい情報なのかを冷静に判断し、得た情報を安易に流して偽情報を広げないようにすることが重要です。

    「災害時要援護者」の方々を支援するためのポイント

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    前述した通り、減災を考える上では高齢者や児童、心身に障がいがある方々などへの配慮も重要になります。その他にも外国人の方や妊婦の方など、災害発生時の自助が難しい方々を包括して、内閣府では「災害時要援護者」と定義しています。そのような方々をフォローするためには、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。

    まずは身の回りの要援護者の方々を把握する

    まず重要となるのが、「身の回りに要援護者となる方々がいるかどうか」です。例えば、近隣に介護施設がある場合には高齢者の方々が一定数以上おられることが想定されますし、保育所や小学校がある場合には児童が相当数集まっていることが予測できます。
    外国人やハンディキャップを抱える方々と一緒に働く職場も、現在では当たり前です。そのような方がどの程度おられるかを、あらかじめ把握しておくことが重要です。

    「災害時要援護者」の方々の把握は企業のリスク管理として重要

    市町村においては2006年制定の「災害時要援護者の避難支援ガイドライン」や2013年の「災害対策基本法改正」をきっかけとし、上述した方々のうち災害発生時の避難等に、特に支援が必要な方についての名簿作成が義務付けられています。デリケートな問題ですが共助の観点からも、企業は従業員の心身におけるハンディキャップの程度について把握しておくと良いでしょう。

    「災害時要援護者」の方へのアプローチ方法

    「災害時要援護者」の方へのアプローチ方法として、例えば聴覚障がいを抱える方には音声以外での情報伝達方法をあらかじめ準備しておく、視覚に障がいを抱える方には環境変化に伴う対処方法を正確に伝えるなどがあります。ほかにも車いすを利用していても移動可能な避難経路づくりや、環境の変化が強いストレスの原因となり得る知的障がいや精神障がいを持つ方への対応に配慮する意識も大切です。
    また外国人の方々については、日本語だけでは状況が十分に把握できないことも想定されるため、母国語をはじめ利用者の多い英語などで事態を伝えられる環境づくりも必要となるでしょう。

    外見からは読み取れない、身体の内部にハンディキャップを抱える内部障がいを持つ方には、どのような配慮をすべきか当人に確認するのもひとつの方法です。
    他にも災害状況をうまく把握できない児童には、危険をわかりやすく伝えることが重要になります。また体力面に不安を抱える高齢者や妊婦の方にも、負担になりにくい避難の対応が求められるでしょう。

    災害時要援護者の方は数多くおられますが、どのような助けが必要なのかは人によって異なります。そのような方との「共助」のためにできることを事前に模索することこそが、減災において求められる姿勢であると考えられます。

    企業における減災対策

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    企業においても減災対策は必要不可欠です。企業の場合は「従業員などの人命を守る」「事業の継続を図る」という2つの観点から減災対策を考える必要があります。

    企業に求められる減災対策

    まずは人命を守ることが第一です。平時から、災害時の対応担当者を決めて災害対応チームをつくっておくことをおすすめします。災害対応チームの策定のもと、備蓄品の準備・従業員の安否確認のためのシステム導入・避難経路の確認・避難訓練の実施などの減災対策をしておくことが必要です。

    あわせて、災害発生後も事業が継続できるよう事業継続計画(以下、BCP)を策定することが重要です。BCPは自然災害やテロ攻撃などの緊急事態にあったときでも、企業が重要な業務を中断させないよう、または中断したとしても短期間で再開できるように手段などを決めておく行動計画のことです。
    まず優先して復旧・継続させるべき重要業務を特定し、緊急時にこの業務が中断した場合の目標復旧時間を定めます。
    その上で代替策についても検討して準備をし、これらBCPの内容について全従業員に周知して意思統一を図っておくことも必要です。

    企業における減災対策事例

    株式会社ローソン(以下、ローソン)は、ライフラインの一部としての使命を果たせるよう減災対策に取り組んでいます。
    各地域で大規模災害が発生した場合は、お客様・従業員およびその家族の安全を確実なものとした上で、災害時においても店舗の営業を継続できるよう努めるというのがローソンの基本方針です。自治体と連携して被災地に救援物資を送ったり、店舗での救援募金活動を行ったりする旨もうたっています。

    阪神・淡路大震災のときにも、ローソンの各店舗は被災直後も看板に明かりを灯して地域に安心感を与え、一部の店舗は被害を受けた当日に営業を再開しました。フェリーやヘリコプターを駆使した救援物資の搬送や本部の応援部隊などの活躍もあり、震災の3日後には被災地にある273店舗のうち260店舗をオープンさせています。
    具体的な減災対策としては、年数回の訓練、災害対応マニュアルに災害種類ごとの初動対応・復旧行動基準などについて明記、各地の地方自治体などと「災害時物資調達協定」を締結するなどの取り組みを行っています。

    減災対策に取り組む中小企業に対する優遇税制

    中小企業が行う防災・減災のための設備投資を後押しするために、2019年の税制改正で「中小企業防災・減災投資促進税制」が措置されました。
    これは「事業継続力強化計画」または「連携事業継続力強化計画」に記載された対象設備を適用期間内に新たに取得した場合に、特別償却20%の税制措置を受けられるという制度です(2021年5月現在)。

    パソナ・パナソニック ビジネスサービスにできること

    企業の減災対策として、日ごろから防災備蓄品をそろえておくことはとても有効です。しかし、適切な防災備蓄品をそろえて定期的に管理し、賞味期限切れの食品などを出さないように処理することには非常に手間がかかります。

    パソナ・パナソニック ビジネスサービス(PBS)では、防災備蓄品の新規購入・管理、賞味期限切れが近づいた食品の回収をワンストップでお引き受けする「 防災備蓄品ワンストップサービス」を行っています。
    回収した食品は連携しているNPO法人が原則無料で引き取って活用するなど、食品ロス削減の観点からも安心してご利用いただけるサービスです。

    PBSの防災備蓄品ワンストップサービスについての詳細は こちら

    まとめ

    企業における減災とは?防災との違いも解説

    どれだけ防災をしていても災害というのは起こりうるものです。また、その発生頻度や発生リスクは近年ますます増大しています。
    大規模災害が起きたときに命が守れるよう、または企業としての使命を果たせるようにするためには日ごろからの備えが大切です。防災と減災の両方に取り組んで、リスクの軽減を図りましょう。

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